<調査概要>
調査対象:全国約300商工会経営指導員
調査時点:2011年10月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式
<産業全体>◇…回復基調から足踏み状態となり、円高等の要因もあり、先行き不透明な小規模企業景況…◇
10月期の小規模企業景気動向調査は、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)は、▲33.7と1.2ptの小幅な改善となった。特に、回復が遅れている小売業では、全てのDIにおいて改善した。全国的には震災関連の特需は沈静化しているが、円高やタイの洪水被害の影響により、受注量の減少、材料価格の高騰を受け、依然として予断を許さない状態である。
<製造業>◇…一部において受注は増加傾向にあるものの、業績悪化が懸念される製造業…◇
製造業DIは、▲26.8と前月比で1.8ptと小幅な改善にとどまった。自動車関連産業を中心に一部の業種においては、引き続き受注には堅調である。しかし、円高やヨーロッパの金融不安、タイで発生した大洪水の影響から、今後の業績悪化が懸念される。また、食品製造業については、全体的には好調な部分と厳しい部分の差が拡大している。
<建設業>◇…先月大幅改善から停滞気味に転じ、厳しい状態の続く建設業…◇
建設業DIは、▲36.8と前月の14.6ptの改善から大きく停滞し、0.5ptの改善にとどまった。震災の復旧工事は、一部では好調であるが、全体的には減少気味である。一方、9月下旬に発生した台風による修繕工事や公共工事が実施されている地域では若干の持ち直しが見られる。震災直後に比べ資材の調達は円滑化しているが、アスファルト等一部資材の価格が高騰するなど、依然として状態は厳しい。
<小売業>◇…小幅な改善が見られるものの、景気停滞傾向が続く小売業…◇
小売業のDIは、▲39.4ptと前月に比べ3.2ptの改善となった。食料品小売業では天候不順や原発風評による野菜や果物の仕入価格の高騰により、苦しい状態が続いている。冬服衣料や暖房器具に動きがあるものの大きくはない。しかし、全体として景気が停滞し、買い控えが見られる状態であり、一部地域ではプレミアム商品券の発行で消費刺激策を実施している。
<サービス業>◇…7か月ぶりに悪化に転じ、先月までの回復基調に陰りが見えるサービス業…◇
サービス業DIは、▲31.9と7か月ぶりに悪化に転じた。秋の行楽シーズンを迎えたが、好調な地域は一部であり、台風などの天候不順の影響が残り苦しんでいる地域も多い。また、石油関連製品を用いるドライクリーニング業では、原材料価格が高止まりしており、費用を価格に転嫁できない状態が続き、厳しい状態が継続している。